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ナイアガラの土壌とアイスワイン

著者 Shigeru Nakamura

カナダのワインの歴史は新しく、オンタリオ州では1800年代に先住民がクレジット川岸でワインを作っていたと伝えらえています。ワイナリーの歴史はブリティシュコロンビア州ケローナ地方に始まり、ハインル・ビンヤードがカナダで最初のワイナリーです。

ナイアガラ地区は北緯41度から44度、フランスのボルドー地方やバーガンディー地方とほぼ同じ緯度にあり、オンタリオ湖から吹く風がナイアガラ丘陵地にあたって循環することで、葡萄栽培に適した気候をもたらします。ナイアガラ半島は夏の間、温度が30度近くまで上がりますが、オンタリオ湖は水深238メートルと深いため、夏場でも水の温度は12度程度に保たれ、オンタリオ湖から吹く涼しい風が葡萄の木を暑さから保護してくれます。逆に、冬の間、その地域はマイナス20度に達することもありますが、オンタリオ湖の水はマイナス1~2度までしか下がらず、その風が循環して葡萄を優しく守ってくれます。

ナイアガラ丘陵地の奥にエリー湖が広がっていますが、オンタリオ湖の海抜は75メートル、エリー湖は174メートルで、その差は99メートル。エリー湖の地下水がオンタリオ湖に注いでいます。この二つの湖にまたがる断層ですが、頁岩、上質砂壌土、粘土、粘土状の漂礫土や石灰岩で形成されていることから、ミネラルが大変豊富で、根が深く伸びやすく栄養分を十分に吸収してくれます。更に、土地と自由を求めてヨーロッパからカナダに入ってきたメノナイトとアーミッシュが営む果樹園からのイチゴ、サクランボ、プラム、洋ナシ、桃、リンゴなどの果物によって土壌に栄養分が行きわたり、温暖な気候と合わせ、ナイアガラ丘陵地はブドウ栽培に最も適している場所であるということが分かります。

カナダのアイスワインが世界的に脚光を浴びるようになったのは、イニスキリン社の1989年産のアイスワイン。1991年、フランスで開催された「ボルドー世界ワインエキスポ」でグランプリを受賞したことにより世界的にナイアガラワインの地位が上がりました。裏話になりますが、イニスキリン社のドナルド氏とワインメーカーのカール・カイザー氏が敷居の高いフランスワイン協会に幾度となく足を運んだ情熱がワイン協会の人を動かしたとも言われています。

アイスワインの歴史は1794年のドイツに遡ります。フランコニア農場である寒い冬の朝、積み残しで凍っていた葡萄を見つけ、捨ててしまうのは忍びないと思い、堅実なドイツ人は天然冷凍葡萄をプレスにかけて醸造したところ、驚くほど美味であったとか。ドイツのアイスワイン製造方法に習い、カナダ・ナイアガラ・オンザ・レイクでも1980年初めにはアイスワイの製造が始まりました。

カナダの醸造品質協定(VQA: Vintners Quality Alliance)には、アイスワインは自然の温度で、摂氏マイナス8度以下で収穫されたものでなければいけないと記されています。通常の葡萄の収穫は9月の中旬以降から始まりますが、アイスワイン用の熟した葡萄は鳥防止用ネットがかけられ収穫日を待ちます。12月中旬から1月にかけて気温がマイナス8度から10度に下がった夜間、葡萄は凍った状態で収穫されます。収穫後直ぐに、プレスにかけ、凝縮した糖分と酸を摘出します。醸造工程でアルコール度が10度程度になった時に、アイスワインが出来上がります。

アイスワインの特徴は濃厚な糖分と酸のコンビネーション。例えば、普通のワインは2本の葡萄の木から750mlが10本作れるのですが、アイスワインの場合、ハーフボトル375ml、3本が限度です。凍った葡萄一粒から取れるジュースは一滴。それだけにたくさんの葡萄の数が必要になります。

主なアイスワインの種類はビダルとリースリングの2種類ありますが、皮が厚くアイスワインが作りやすいビダルは酸味が弱いため風味が優しくまろやかな口当たりが特徴。一方、リースリングは酸味が強く、力強い味覚があります。白が主ですが、赤のアイスワインはキャベルネ・フランの葡萄を使用しています。

ナイアガラ地区では毎年恒例で1月にアイスワインフェスティバルが開催され、今年で17回目になりました。カナダだけでなく、世界中からアイスワイン好きが集まります。

カナダアイスワインフェスティバル
http://www.icewinefestival.com/page/icewine_home

イニスキリンワイン社
http://www.inniskillin.com/

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