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クジラに魅せられた人たち

著者 Tatsuo Gunji

バンクーバーからトロント経由でケベック・シティに入った私たちは、翌朝、観光局が用意したバスでホエール・ウォッチングの拠点の街、タドサック(Tadaussac)に向かいました。セントローレンス川に沿って北東に進むその道は、およそ3億5千年前に地球に衝突した巨大隕石が形成した(直径55キロの)クレーターの中を通って行きます。シャルルボア地方と呼ばれるなだらかな丘陵地帯で、秋の美しい紅葉が見ものです。
氷河が作った深く入り江(サグネ・フィヨルド)をフェリーで渡ると、そこが目的地のタドサック。私たちは早速、クジラの研究所の「海洋哺乳類観察センター(CIMM)」を訪問しました。ここは28年前から、目の前のセントローレンス川(この辺りは海のように広い)に毎年やって来る様々な種類のクジラの生態研究、個体識別などを行ってきました。

クジラの研究者のミッシェルさんに聞くと、セントローレンス川にやって来るクジラは13種類。シロイルカ(体長5m)、ミンククジラ(10m)、ザトウクジラ(15m)、ナガスクジラ(20m)などから、時には最大のシロナガスクジラ(30m)までやってきます。ミンククジラは殆ど毎年、同じクジラがやって来るので一頭ずつ個体識別されており、その行動範囲の地図なども作られているそうです。
タドサックには、こうしたクジラを見ようと毎年多くの観光客がやって来るので、800人の人口が夏には2万人にもなるといいます。観察センターでクジラの話を聞いた後、私たちは(映画「ホテル・ニューハンプシャー」の撮影舞台にもなった)可愛いらしくも美しい「ホテル・タドサック」にチェックイン。夕食時にパークス・カナダ(カナダの国立公園を管理する政府機関)でクジラの研究をしているヴァレリーさんに、ホエール・ウォッチングの魅力について話を聞きました。

大学で生物学を学んだ彼女は、難関を突破して現在の仕事につき、夏の間はクジラの観察、冬の間は教育用資料の作成などで過ごします。クジラの仲間同士が群れているのを見るのは、とても印象的なのだそうです。翌日のホエール・ウォッチングが楽しみになってきました。

翌日は、午前9時半からホエール・ウォッチングに出かけました。上から下まで完全装備の防水コートを着込んで、海岸の桟橋から20人乗りのゴムボートに乗り込みます。沖合に出てエンジンをとめてクジラを探します。そしてクジラが見つかると全速力で近づきます。しかし、あいにくこの日は波が少し高くて、ゴムボートがスピードを上げると、ザブンザブンと容赦なく波しぶきがかかります。

その日のクジラは近づいて良く見ようとすると、あっという間に水中に姿を消してしまいます。そうすると、また5分程待たなければなりません。そのクジラは今度は思わぬ方向に姿を現します。また全速力で近づく。これを繰り返しているうちにボートの最後尾に座っていた私は、全身びしょ濡れになってしまいました。クジラに恵まれれば、かなり近づいてゆっくりと観察できるそうですが、この日は3時間の間この繰り返し。この時期(6月)、水は冷たくないので苦にはなりませんが、正直もう少し近づいてゆっくりクジラを眺めたかった。。
http://jp.canada.travel/experience/tadosatukudehoeruuotutingu
参照

さて、番組企画的に私が惹かれたのは「クジラに魅せられた人々」です。世界各地からクジラを見ようとやって来る人々はもちろんですが、何より地元でクジラを研究観察している、ミッシェルさんやヴァレリーさんが魅力的。本当にクジラが好きなのだということが話していて伝わってきます。それに、いかにもクジラが大好きという表情が素敵です。精神的でピュアな感じがクジラの研究者にぴったりの感じです。
ホエール・ウォッチングの拠点の美しい村、タドサックでクジラ研究一筋に生きる彼と彼女の日常を追うことで、彼らが何故クジラを愛するのか、クジラ研究の魅力とは何か、その秘密を解き明かすような番組が出来るかもしれません。

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